.群馬大学中央図書館
 
 
 
卒業論文
 
 
◆ 卒論を書く ◆
 
 
 この学部では,卒業研究が必修になっています。そして,社会専攻では,卒業研究は卒業論文の形をとります。では,卒業論文を書くことにどのような意味があるのでしょうか。
 
 何のために書くのかというと,「言いたいことを言うために書く」のです。言いたいことがないとなかなか書けないのが,論文というものです。もちろん,言いたいことは自分で見つけるしかありません。卒論を書くことは,与えられた問題の解答を求めることではないのです。日頃の学びの中から自分で問題(課題)を探し求めることが大切です。問題の発見が卒論の出発点になります。
 
 「言いたいことを言うために書く」といっても,もちろん言いたいことをそのまま書くのではありません。自分の言いたいこと(結論)を説得力を持って示すために,事実を積み重ねて論証していくのが論文です。なお,論証の結果として,当初に想定していたのと異なる方向に話が進んでいったり,予定とは違う結論が出てくることもありえますが,それはそれでかまいません。
 
 卒業論文は,できあがった結果としての論文だけではなく,地道な作業の積み重ねとしての執筆過程が大きな意味をもっています。執筆過程には,文字通りの「書く」ことと並んで,調べること,考えることが含まれます。調べることと考えることに全力を尽くしましょう。そうすることではじめて,書くことが可能になります。
 
 以上のすべての過程を通じて,問題を発見し,調べ,解決することを経験し,その力をつける,ということも卒業論文を書く目的といえるでしょう。
 
 卒論執筆の過程を通じて学びの楽しさ・奥深さを知ることは,教員になって子どもたちと学びを深めていこうという人にはたいへん重要です。また,どのような職業に就くにしても,大きな力になるでしょう。
 
 

 
 
◆ 卒業論文のテーマ ◆
 
 
 法律学研究室の学生が書いた卒業論文のテーマは,次の通りです。いろいろです。
 
2021年「少年法適用年齢引き下げ議論について」
「平和安全法制のねらいと課題から考える日本の積極的平和主義」
「セクシュアルマイノリティと教育現場の実状と課題」
「日本における母子世帯支援の動向と課題」
「中学校・高等学校における子どもの権利と校則」
 
2020年「児童虐待の実状と防止・発見・救済の課題」
「小選挙区制の導入が政治に与えた影響は何か−小選挙区制論及び二大政党制論の検討」
 
2019年「子どもたちの放課後生活はどうあるべきか−学童保育の現状から考える」
 
2018年「現代日本の貧困と生活保護法」
「未来を切り開く主権者を育てる−学校教育でできること」
「女性が働きやすい社会をつくるための法的課題−地方自治体の取組を中心に」
 
2017年「日本人における信教の自由の意義」
「子どもの貧困と教育機会均等−世代間連鎖をどう断ち切るか」
「象徴天皇制から見る「個人」」
 
2016年「集団的自衛権行使容認は何を狙うのか−「戦後レジームからの脱却」のなかで」
「日本はどのようにしてヘイトスピーチと向き合っていくべきか−ヘイトスピーチ規制と表現の自由の対立」
 
2015年「現代日本の教育政策にみる復古主義と新自由主義」
「子どもの貧困の現状と対策−対策法と大綱から考える」
「高齢者福祉と権利擁護−成年後見制度の利用の観点から」
 
2014年「これからの結婚と家族のあり方−同性婚が認められる社会へ」
「インターネット選挙運動解禁を考察する」
「非行少年と社会をつなぐ教育のあり方」
 
2013年「裁判員制度−施行3年からみえる光と影」
「地方政治の暴走」
「教育現場で行なわれるマインドコントロール」
「新興経済大国における教育格差」
「『われわれとやつら』からの脱却−ナショナリズムを超えて共生するために」
 
2012年「我が国における死刑の現状と今後の在り方について考える −死刑廃止の立場から」
「人道的介入 −武力行使の正当性の検証」
「ポルノグラフィと性教育 −性情報の正しい伝達と性的自己決定」
「難民問題と日本 −難民と庇護希望者の命を守るために」
 
2011年「刑事事件における被疑者・被告人の権利と被害者の権利−真に守るべき権利とは」
「日本にできる国際貢献は何か−自衛隊海外派遣のこれまでとこれから」
「犯罪少年の更生とそれを支える法・社会のあり方」
 
2010年「9.11と対テロ戦争」
「女性のための“ワーク・ライフ・バランス”−真の自己実現を目指して」
「選択的夫婦別姓の実現に向けて」
「『モンスターペアレント』論から探る教師と保護者との協働」
「正社員の雇用状況−倒れるまで働くな,生きるために働け」
 
2009年「『幸せな家庭』の条件−男女共同参画社会の家庭像」
「『軍事大国』日本の過去・現在・未来−真の平和を求めて」
「表現の自由とプライバシー権−プライバシーはどこまで報道してよいのか」
「裁判員制度の光と影−司法の民主化か見せかけの司法参加か」
「究極の性差別DV−その実態と対策」
 
2008年「どうしていじめはなくならないのか−いじめの実態から学校教育の課題を考える」
「現代の愛国心教育−愛するか愛さないかは私が決める,愛し方も私が決める」
「死刑存置論と現在の日本社会−体感治安の悪化と被害者問題に触れながら」
「格差社会の若者たち−ワーキングプア問題を中心に」
「日本の子育て環境の現状と支援の課題」
 
2007年「少年犯罪と少年法改正」
 
2006年「教育権の保障−夜間中学を通して」
「現代の難民問題と日本の対応」
 
2005年「地球温暖化をめぐる世界の動向−京都議定書を中心に」
「新自由主義と保守政治の変容」
 
2004年「育児支援立法の動向−育児支援と少子化対策の微妙な関係」
 
2003年「現代における育児と支援について−現状と将来への展望」
「変動する社会と教育−教育行政をどうみるか」
「ホームレスの現状と対策」
 
2002年「『高齢社会』日本の姿−介護保険は高齢者を救えるか」
「犯罪被害者の現状とその権利実現のための課題」
「ドメスティック・バイオレンスはなぜおこるのか,どうすればなくなるのか」
 
2001年「暴走するクルマ社会」
「少年法−改正問題を中心にして」
「高齢社会における現状と問題点−介護の在り方を通して」
「現代社会における児童虐待について」
「『会社本位主義』日本と国民の対応」
 
2000年「主権者を育てる社会科教育」
「カード社会に関する一考察」
「ジェンダーと『個人』−真の男女平等社会に向けて」
「望ましい納税制度−納税者の権利と意識の視点から」
 
1999年「高齢者福祉に関する一考察−介護保険制度を中心に」
「ダイオキシン類問題に関する一考察」
「不登校から見える『学校』」
「日本における国際化」
「『主権者』として環境問題を考える」
 
1998年「女性のリプロダクティブ・ライツ/ヘルスについて」
「インターネット上(サイバースペース)における人権保護に関する一考察−プライバシーの保護を中心に」
「子どもの教育への権利と学校教育に関する一考察」
「『地球』環境問題についての一考察」
「現代の少年事件・少年司法に関する一考察」
「雇用における男女平等−男女共生社会にむけて」
 
1997年「子どもの人権と体罰・虐待」
「国民の意思が適切に反映されるためにとるべき方法は−選挙という仕組みを中心とした考察」
「基地と住民−沖縄基地問題を中心に」
 
1996年「裁判例における教員の懲戒権と子どもの学習権」
「子どもの権利と少年司法に関する一考察」
「保育行政の現状と課題−子育て支援の観点から」
「日本の国際協力についての一考察−PKO活動を中心に」
「死刑制度についての研究」
 
1995年「日本における外国人労働者問題の研究−共生社会を目指して」
 
1994年「『児童の権利条約』に関する一考察」
「平和維持活動から考える日本の国際貢献」
「労働の場における男女平等を考える」
 



◆ 卒論発表会 ◆
 
 
 毎年2月に,法律学・社会学・倫理学の公民系3研究室合同で,卒論発表会を開いています。例年,多様な問題が取り上げられます。それぞれの発表を受けて,法律学・社会学・倫理学という複合的な観点から検討されるので,参加者は現代日本社会の課題について認識を深めることができます。
 
 



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