写真１ ケンブリッジ郊外の下宿先の庭 近年、イングリッシュ・ガーデン、ナショナル・トラスト、田園生活などに対する関心がとても高くなっている。ここでは、イギリスにおいて、それらがカントリーサイドをめぐる社会的状況とどのようにかかわるのかを考えたい。
写真１は、わたしが1997年、ケンブリッジ滞在中に暮らした屋根裏の部屋から撮ったものである。この家を訪ねて部屋に案内されたとき、広い窓から見えるこの庭が素敵だったので、ここを借りることをすぐに決めた。街の中心から２キロメートルのところにある、この家オーナーは偶然にもケンブリッジ大学の先生だった。こうして、初春から初冬まで、この庭を眺めながら生活を楽しむことができた。
写真１ ケンブリッジ郊外の下宿先の庭
以下では、イギリスのカントリーサイドのイメージが歴史的にどのように形成されたのかを粗描し、イギリスでの滞在経験をふまえながら、カントリーサイドへの高い関心がどのような背景に生まれたのか、それにともなってどのような現象が生じているのか、という点について述べたい。