ケンブリッジ大学図書館

      

  大学図書館             大学図書館遠望(近景はキングス・カレッジ)

 ケンブリッジ大学図書館で、検索・図書の請求・コピー・借り出しと、一通り使ってみた体験談の報告です。これは、渡英して一月ほどで書いたものに、その後、経験したことを加筆したものです。図書館の略史・概要などに興味がある人は、ホームページにアクセスしてご覧ください。親切に説明されています。

 初めて大学図書館に行ったとき、ホスト教授の紹介状を持っていたのですが、まず受け付けで、これはHead of departmentのものかと聞かれて、そうではないというとフォーマルな紹介状の用紙を渡されたので、今日は手続きできないのかと一瞬思いました。そうしたらすぐ、ケンブリッジでの所属・住所、日本での所属・住所を記入する申込書を渡されて、それに記入すると写真入り図書館利用者カードを作ってくれました。後日、主任のサインの入った書類を届けました。入館の際には、必ず、写真入りの図書館カードを見せねばなりません。


 初日は、あまりに建物が大きいので、1時間ぐらいブラブラしただけで、迷子にならずに外にでるのがやっという感じでした。とりあえず、数十種類あるReders' Handbookを持ち帰えり、ひととおり目を通して出かけ直すことにしました。これは上記のホームページにも載っています。


 前後して大学図書館と地理学教室にあるMap Roomものぞいたのですが、ともにlibrarianがいてすぐに何を探したいのかと、声をかけてきました。初めて来たのちょっとみて回るだけといって、初回は帰ったのですが、きちっとこちらの要望を伝えられば、優秀なlibrarianの手を借りられるのだと言うことも理解できました。


 検索はオンライン・システムになっています。1977年以降刊行のものすべてとそれ以前のもの一部が入力されています。ホームページにリンクされており、Telnet に入っていけるようになっています。


 検索の結果、みたい本が開架にある場合には、自分で探しに行くことになります。North Front, North Wing, South Front, South Wing がそれぞれ6階まであり、これ以外にも回廊などにもぎっしり本が並べられているので、必要な棚にたどり着くまでなかなかよい運動になります。ただし、そこまでいけば、本のサイズで棚が分けられている以外は、分類番号にしたがって整然と並んでいるので、すぐ見つけられます。おもしろかったのは棚と棚の間の電気の使い方。タイマー式になっていて数分から10数分で自動的に消えるようになっています。消し忘れがなくて合理的です。


 閉架にある場合には、指示のあるカウンターで請求することになります。多くはReading Roomで行うことになりますが、これには時間がかかります。これまで見たところでは45〜75分の間の掲示になってます。ただし、日本の国会図書館と比べて使い勝手がよいのは、請求冊数の制限がないことと、取り出された本は所定の棚に並べられるだけで自分で勝手に持ち出せることです。このへんも各自が責任を持って本を利用しなさいと言うことなのでしょう。その棚はTodayとYesterdayに分かれています。つまり、翌日まで残しておいてくれるわけです。例えば、わたしの場合、土曜日の午前中ちょっと立ち寄って請求しておき、月曜日にいったらYesterdayの棚に置かれていて閲覧できました。自宅と地理学教室の中間に図書館があって都合よく利用できました。


 なお、閉架の図書の多くは、カードに記入する方式から、わたしの滞在中にコンピュータの端末で請求できるように切り替わりました。検索した画面に自分の氏名や暗証番号をいれれば書庫から取り出されるようになり、待ち時間が短縮されました。それでも学年末の5月には100分という掲示がありました。


 また、Reservation Slipというシステムがあります。ほとんどの机の上に必ず3〜5冊の本が積んであるのでなんだろうと思って見たのですが、本の間にその紙切れが入っていました。それには日付と名前を入れれば、5冊まで3日間、それらの本を自分のためにとっておけるシステムでした。こうして図書館が利用されているのだと思った次第です。わたしもそれを使って本を置いて2日後に行ってみると、周囲にあった本の山は片づけられていて、自分の取りだした本だけがちゃんと残されてました。


 コピーは、基本的にセルフサービスになっています。利用者カードがコピーカードもかねていて、それを機械にいれて適当にコインを投入すると、その分だけコピーがとれます。A4が7ペンス、A3が10ペンス=約20円です。ただし統計書など著作権の関係で手続きが必要なものは、コピーサービスに頼む必要があります。また、借り出しは、大学1-2年生は認められておらず、身分によって規則があるようです。わたしの場合2カ月間借りられました。


 あとは余談です。図書館の利用者カードには顔写真と有効期限がはいっているので、これが身分証明書にもなるようです。キングス、クレア、トリニティ、セント・ジョンズなどの有名カレッジはビジターからは 1〜2ポンドの入場料を取っているのですが、大学関係者は当然のごとく無料です。カードをみせてこれでOKかと聞いたら、もちろんと言うわけで、天気のいい日には昼食後に各カレッジの庭を散歩することができました。


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